伝えるプロなのに、あの頃の「怖さ」が抜けなかった

2026.08.12
Todays Voice

前回、「わたしは、ゴミのような人間だ」そう思っていた頃の話をしました。コロナをきっかけに声という手段に出会い、2024年1月に「学生たちに幸せに働いてほしい!」という想いで独立した話です。今日は、そこからどう今の『声のcampus』にたどり着き、何度も自分に向き合うことになったのか、その話をお届けします。

学生だけでいいのかという迷い

独立してから1年ほど経った頃から、周囲からこんな問いをもらうようになりました。「どうして学生なの?」「本当に学生だけでいいの?」

正直、最初は戸惑いました。だって「(元)学生たちに囲まれて私は最期を迎えるんだ」と周囲に豪語していたくらい、信じて疑わず突き進んでいたんです(笑)だって学生は、私を救ってくれた存在だから。

でも、聞かれるたびに、同じ疑問が自分の中にも積もっていったのです。わたしが本当に力になりたいのは、学生だけなのだろうか、という疑問。人の本来の力を引き出すことができるなら、それは学生に限った話ではないはずでした。

私は声の人!

2025年6月、そのモヤモヤを、現在、声のcampusで私のマネージャーを務めてくれている孝くんに相談しました。すると、最終的にこう言われたのです。

「あやのんは、声の人だよ!」

その瞬間の光景を、今でもはっきり覚えています。目の前がピカピカピカーーー!!!と光り輝いたんです。よく「稲妻が落ちた」なんて言い方をする方もいますが、まさにそれです。

小さい頃から歌ったり声で遊ぶことが大好きだったこと、人の本音を引き出し言語化するのが得意だったこと。すべてが一本の線でつながって、すとんと落ちたのです。

学生を救いたい気持ちも本当。でも、それだけなら他の人にもできる。わたしにしかないもの、ずっとずっと大切にしてきたものは、声だ。

「学生だけじゃない。声を通じてたくさんの人を元気にしたいんだ!」私の本当の使命に気づいた瞬間でした。

それから、声のcampus代表として、『声の先生あやのん』を名乗って走り続けることになったのです。

伝えるプロなのに伝えられない

声の先生として活動するようになっても、消えない癖がありました。「人の顔色を見る癖」です。目上の人や、意見の強い人を前にすると、途端に弱くなる。「ちゃんとしなくちゃ」と縮こまる。

言葉を選びすぎたり、飲み込んだり、伝えるプロを名乗っているのに、うまく伝えられない。そんな自分が、ダサくて、ものすごく悔しかった。

その根っこにあるのは、素を出したら馬鹿にされる、嫌われる、離れていってしまう。そんな、怖さでした。

このままではだめだ!と思い、一つだけ心に決めました。 それは、相手が誰であっても、どんな場所でも、心のまま『伝え切る』こと。それだけに集中しよう。

反応なんてどうでもいい。伝えたいことをまっすぐに伝え切る。そう決めて、日々を過ごすようになったのです。すると、少しずつ周りの反応が変わっていきました。声をかけてもらえる機会が増え、活動もどんどん広がっていったのです。ちょうど、去年の夏頃のことでした。

「あやのんって、結局何の人なの?」

声を前面に出すようになり、司会・ナレーション、ボイトレや伝え方講座などなど、声の活動がどんどん増えていきました。わくわくしながら無我夢中で、1年ほど走り続けていたのです。

その裏側では、実はいろんなことが起きていました。チームでのプロジェクトに向き合う中で心のまま生きようと決めて、やりたいことを全部やってみたら、逆に苦しくなってしまったこと。衝動的に出かけた小樽への旅で、少しずつ自分を取り戻したこと。そして7月末、大切に育ててきたそのプロジェクトを、思い切って手放したこと。

けれど、2026年6月ごろ、また新しい違和感が生まれてきました。「声を教える人」という見え方が強くなるほど、本当に届けたかったものが伝わりにくくなっていく感覚がありました。わたしがやりたいのは、発声を教えることではありません。声を入り口にして、その人の本来の力を引き出し、解放すること。「声をよくすること」ではないのです。言っていることと、やりたいことの乖離、「言葉と心の不一致」に葛藤するようになりました。

そんな矢先、ある人からこう聞かれたのです。「あやのんって、結局何の人なの?そこでしょ。」

一言で答えられませんでした。胸を矢で射抜かれたような、そんな感覚。図星だったのです。

それから1ヶ月間、この問いから逃げずに、毎日、自分に問い続けました。

そうして、ようやくひとつの答えにたどり着きます。

次回、その答えをお話しします

藤島あやの
PROFILE
藤島あやの
声のcampus 代表

声のcampus代表。想いを届ける司会・ナレーション、対話で人と組織をつなぐ企業研修・ファシリテーションを軸に、ラジオパーソナリティ、大学非常勤講師、経営者インタビューメディア「コントリ」インタビュアーとしても活動中。ビジョンは「声の力で、誰もが自分らしくいきいき輝いて働く社会の実現」。人が定着する組織に必要なのは「理念の浸透」と「相互理解」。そのために必要なのが、聴く・認める・伝えるという”対話の文化”。一人ひとりが主体的に力を発揮し、互いに認め合い助け合える、強く持続的な組織をつくる。すべては、声から始まる。

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