「メンバーは増えているのに、なぜか一体感がない」
そんな感覚、心当たりはありませんか。人数は増えても、心はまとまっていません。組織にはよくある、けれど見過ごされがちな落とし穴です。
チームは、人数で強くなるわけではありません。
人を集めるほど、なぜか離れていく心
組織を広げようとするとき、多くの人がまず「人数」を追いかけます。採用を増やすこと、拠点を増やすこと、メンバーを増やすこと。もちろん、それも必要なことです。
でも気づけば、ただの人数集めになっていることがあります。一人一人がどんな思いでそこにいるのか、置き去りのまま。
大切なのは、頭数ではありません。どれだけ思いや理念が染み込んだ、濃いメンバーを集められるか。ここだと、わたしは思っています。
組織が大きくなればなるほど、理念は薄まっていきます。人が増えるほど、伝言ゲームのように、少しずつ形を変えていくからです。だからこそ、ここにこだわり続けられるかどうかで、後々の景色がまったく違ってきます。
表面的な言葉だけでつながっている組織は、長くは続きません。同じ場所にいても、それぞれがバラバラの方向を見ているからです。
理念にこだわる会社は、なぜか強い
うまくいっている会社ほど、理念にこだわっています。これは、たくさんの経営者の方や大学の講義でお話ししてきた中で、何度も感じてきたことです。
評価制度に理念を組み込むこと、朝礼で語ること、日々の発信で伝え続けること。何度も何度も、同じ言葉を届け続けているんです。
けれど、伝えるだけでは誰もついてきません。ここが、実はいちばん大事なところです。
一方的に理念を語るだけでは、右から左に流れていきます。届いているようで、実は届いていません。そんな瞬間、あなたにも心当たりはありませんか。
必要なのは、一人一人の思いや状況をキャッチしながら、理念というゴールを示していくこと。相手の声を聴き、今どんな気持ちでいるのかを知ること。そのうえで、進む方向を一緒に見つめていきます。
聴く、知る、認める、伝える。この循環の真ん中に、理念を置いていきます。そうやって初めて、理念とその人の心が、一本の線でつながります。
尖らせる勇気が、長く続くチームをつくる
理念を尖らせれば、離れていく人が出てきます。正直に言うと、それは寂しいことです。
でも、長い目で見れば、そのほうがいいのです。これは、声のcampusとしてたくさんの現場を見てきて、確信していることです。
理念をぼかして、みんなに合わせようとするほど、チームの輪郭はあいまいになります。逆に、理念を尖らせて濃いメンバーで進んだ組織のほうが、結果として「よかった」という声をたくさんいただきます。
明日からできることは、シンプルです。
まず、自分たちの理念を一文で言い切ってみること。声に出して読んでみて、心が動くかどうか確かめてください。
次に、日々の発信の中に、その理念の言葉を必ず一つ入れること。朝の挨拶でも、SNSの投稿でも構いません。
そして、伝えっぱなしにせず、定期的に聴くこと。「どう感じた?」「今、どんな気持ち?」と、一人一人に問いかけてみてください。聴くを飛ばすと、伝わりません。
あなたのチームに流れる声を
人数を増やすことは、簡単です。心でつながる仲間を増やすことは、簡単ではありません。
でも、そここそが組織の本当の強さになります。声を通して思いが循環していくチームは、人数以上の力を持っています。
理念を尖らせることを、恐れないでください。離れる人がいたとしても、残った人たちとの間に流れる声は、きっと濃く、あたたかいものになっていきます。
あなたのチームにも、一人一人の心とつながる声が流れていきますように。
声のcampus代表。想いを届ける司会・ナレーション、対話で人と組織をつなぐ企業研修・ファシリテーションを軸に、ラジオパーソナリティ、大学非常勤講師、経営者インタビューメディア「コントリ」インタビュアーとしても活動中。ビジョンは「声の力で、誰もが自分らしくいきいき輝いて働く社会の実現」。人が定着する組織に必要なのは「理念の浸透」と「相互理解」。そのために必要なのが、聴く・認める・伝えるという”対話の文化”。一人ひとりが主体的に力を発揮し、互いに認め合い助け合える、強く持続的な組織をつくる。すべては、声から始まる。