前回、伝えるプロなのに、あの頃の「怖さ」が抜けなかった話をしました。「あやのんって、結局何の人なの?」という問いに、すぐには答えられなかった話です。1ヶ月間迷子になりながら、何度も自分に問い続けた先に、ようやくたどり着いた答えがあります。今日は、その話をお届けします。
(前々回の「わたしは、ゴミのような人間だ」そう思っていた頃の話からの続きです。まだの方はそちらもぜひ。)
働く現場は声で変わる
経営者インタビューの仕事を通して、たくさんの会社を見てきました。組織の立て直しに成功している会社に共通していること。それは、決まって「話を聴くこと」でした。
一方的に理念や想いを伝えても、社員はついてきません。まず一人ひとりに時間をとって、今の状況や想いをじっくりヒアリングする。そのうえで、会社の想いを伝えていく。評価制度も同じです。今やっている仕事がどこにつながっているのか、理念と照らし合わせてゴールを設定し、目的意識をすり合わせている。その理解があって初めて、適材適所が実現するのです。
ある2代目社長が教えてくれたこと
以前、ある企業の2代目社長にインタビューしたときも、まったく同じことをおっしゃっていました。まずは経営する側が、社員一人ひとりのことを知り、「大好きだ」という想いを伝えること。一方的に「会社を愛せ」と言っても、愛せるはずがありません。まず、こちらから愛情を伝えていく。
その社長が席を外している間、近くにいた社員さんに「お仕事、楽しいですか」と聞いてみました。迷わず「楽しいです!」という答えが返ってきました。「どの部署に異動しても、同じように楽しいんです」と。つまり、どの部署も同じ方向を見て、同じことを大切にしている。コミュニケーションが取れている、なによりの証拠でした。
そういう会社には、もうひとつ共通点があります。旅行などのイベントを、会社として企画していることです。一緒に過ごす時間そのものが、主体性と協調性を育んでいるのだと思います。
行き着いた確信
たくさんの経営者からお話を聴く中で、ある確信を得ました。
人が定着する企業に共通しているのは、『理念浸透』と『相互理解』。そしてその土台になるのが、聴く、認める、伝える。つまりは「対話の文化」です。互いに想いを伝え合い、受けとめ合い、認め合う。そんな対話の積み重ねが、誰もが主体的で助け合える、人が辞めずに残っていく、強くて持続的な組織を育むのだと、わたしは確信しています。
そして、AIが進化する今、必要なのは人間力だとあらゆる専門家が語ります。人間力とは、感じ取る力や伝える力だと私は思っています。『声に出して想いを伝え合う力』が、明るい未来をつくるのです。
対話の文化を届ける
そんな話を何度も聞くうちに、こんな時代にわたしが生まれた理由、その使命は何なのだろうと、改めて考えるようになりました。
「わたしは何の人なのか。」「声で、何を届けるのか。」1ヶ月間、毎日、何度も自分に問いかけ続けました。
そして、ある瞬間、ふいに目の前がひらけるような感覚がありました。
―そうだ、すべては声から始まるんだ! 私には声がある。 声で働く現場は変えられる。声で世界を照らすことができるんだ!
幼い頃から本音に蓋をし、自分らしくあること、伝えることに課題を抱えてきたわたしだからこそ、たどり着けた使命。
それは、 声で「対話の文化」を育み、人が主役になれる企業を増やすこと。 その先に、「誰もが自分らしくいきいき輝いて働ける未来」を実現していく。これが、たどり着いた答えです。
ずっと変わらなかった想い
わたしには、学生の頃からずっと言い続けてきたことがあります。『周りの人を明るくできる太陽みたいな人になりたい。』
遠回りをしながらも、その想いは少しも変わっていませんでした。声を通じて対話を育み、人が主役になれる企業を増やしていくこと。それが、太陽のように、誰かの人生を照らす方法だったのです。
経営者であるあなたへ。 社員が主体的に動いてくれない、本音を伝えてくれない、伝えたのに伝わっていない。それは本人の資質の問題ではありません。
聴いてもらえる、認めてもらえるという安心感があって初めて、人は本音で語れるようになり、相手の言葉も受け取れるようになり、その結果、「もっと役に立ちたい」と自ら行動を起こすようになります。一番必要なのは、指導でも制度でもなく、ただ聴くことだったりします。3年後、10年後の未来を大きく変える対話の文化を、一緒に創りませんか?
声のcampus代表。想いを届ける司会・ナレーション、対話で人と組織をつなぐ企業研修・ファシリテーションを軸に、ラジオパーソナリティ、大学非常勤講師、経営者インタビューメディア「コントリ」インタビュアーとしても活動中。ビジョンは「声の力で、誰もが自分らしくいきいき輝いて働く社会の実現」。人が定着する組織に必要なのは「理念の浸透」と「相互理解」。そのために必要なのが、聴く・認める・伝えるという”対話の文化”。一人ひとりが主体的に力を発揮し、互いに認め合い助け合える、強く持続的な組織をつくる。すべては、声から始まる。