脳は主語がわからないから褒め言葉はぜんぶ自分に返ってくるんです
だれかのグチや悪口を言ったあと、なんだかスッキリするどころか、逆にどっと疲れてしまう。そんな感覚、ありませんか。
実はこれ、気のせいじゃないんです。脳って「主語」を区別できなくて、他人に向けた言葉もぜんぶ自分ごととして受け取ってしまうんですって。この話を知ったとき、わたしは思わず「わっ」と声が出ました。
今日は「脳は主語がわからない」というお話から、わたしが本当に伝えたい「承認」の力についてお届けします。読み終わるころには、きっと声に出したくなっているはずです。
悪口も褒め言葉も脳には同じ宛先
たとえば「あの人ってほんとダメだよね」と誰かに言ったとします。言われた相手はもちろん傷つきますが、実はそれ以上にダメージを受けているのが、言った本人の脳なんです。
脳は「あの人」も「自分」も区別せず、その言葉をそのまま処理してしまいます。つまり「ダメだ」と発した瞬間、脳の中では「自分がダメだと言われた」ことになってしまうんです。
これが続くと、知らないうちに自己評価がじわじわ下がって、自律神経まで乱れていくこともあります。愚痴を吐き出してスッキリするはずが、逆に自分を痛めつけていたなんて、なんだか切ないですよね。
でも、ここには逆の力もちゃんとあります。「すごいね」「素敵だね」「ありがとう」。誰かに向けたポジティブな言葉も、脳は同じように「自分ごと」として受け取ってくれるんです。人を褒めれば褒めるほど、自分の心も温かくなっていく。なんだか得した気分になりませんか。
本当に伝えたいのは承認のちから
ここでわたしが一番伝えたいのは、ポジティブな言葉を選ぶことだけじゃないんです。もっと奥にある「承認」という力についてなんです。
まずは自分自身を承認すること。「よくやったね」「今日もがんばったね」と、自分で自分を認めてあげる。これを「自己承認」と呼びます。
心理学の世界でも、自分で自分を認める行為には確かな効果があるとされています。心理学者クリスティン・ネフが提唱した「セルフ・コンパッション」の研究では、自分にやさしい言葉をかける習慣がある人ほど、自己肯定感が高く、不安やストレスへの耐性も強い傾向があるとわかっています。心理学者クロード・スティールの「自己肯定理論」でも、自分の価値を自分の言葉で確認するだけで、プレッシャーの中でも本来の実力を発揮しやすくなると言われています。
つまり、自分をほめる言葉は気休めなんかじゃなくて、ちゃんと心と体に効く「栄養」なんです。だからこそ、声に出して自分をほめてあげてほしいんです。心の中で思うだけじゃなくて、口に出す。それだけで、脳への届き方がぐっと変わります。
そしてもうひとつ。相手のことも、どんなことでもいいから受け止めて認めてあげてください。「よく気づいたね」「そのままでいいよ」「話してくれてありがとう」。大きなことじゃなくて大丈夫です。
相手を承認する言葉は、脳の仕組み上、必ず自分にも跳ね返ってきます。誰かを認めてあげたぶんだけ、自分の心も満たされていく。承認って、与えれば与えるほど自分の手元にも残る、不思議でやさしい力なんです。
声に出すから届く力
声のcampusでは「声に出して伝える」ことをいちばん大切にしています。心の中で思っているだけでは、脳にも相手にも半分しか届きません。声には温度があって、その場の空気を震わせて、確かにそこに存在した証になるからです。
だから今日から、ぜひ試してみてほしいことがあります。
鏡の前で「今日もよくやったね」と声に出してみる。誰かのいいところを見つけたら、心の中で終わらせずに「それいいね」と言葉にして伝える。ほんの一言で十分です。
最初は照れくさいかもしれません。でも大丈夫。声に出すことに慣れていく過程そのものが、自分を認める練習になっていきます。自分にありがとうを言うたび、じんわり温かい気持ちになるものです。
承認の声はめぐって自分に還る
悪口も褒め言葉も、脳は同じように受け取ってしまう。だったら、自分を認める言葉、相手を認める言葉を、意識して選んでいきたいですよね。
自己承認と他者承認、このふたつを声に出す習慣が積み重なったとき、あなたの周りにはきっと、愛情と感謝が循環するやさしい空気が生まれていきます。
今日はまず、ひとつだけ。自分に「おつかれさま」と声をかけてあげてください。それだけで、もう始まっています。
声のcampus代表。想いを届ける司会・ナレーション、対話で人と組織をつなぐ企業研修・ファシリテーションを軸に、ラジオパーソナリティ、大学非常勤講師、経営者インタビューメディア「コントリ」インタビュアーとしても活動中。ビジョンは「声の力で、誰もが自分らしくいきいき輝いて働く社会の実現」。人が定着する組織に必要なのは「理念の浸透」と「相互理解」。そのために必要なのが、聴く・認める・伝えるという”対話の文化”。一人ひとりが主体的に力を発揮し、互いに認め合い助け合える、強く持続的な組織をつくる。すべては、声から始まる。