スマホがそこにあるだけで、あなたの声は半分しか届いていないかもしれません

2026.07.23
Todays Voice

だれかと話している最中、スマホがちらっと視界に入った瞬間、相手の言葉が半分しか耳に入らなくなる。そんな経験、ありませんか。

先日、こんな話を聞きました。人はマルチタスクをすればするほど、脳のパフォーマンスが落ちていくらしいのです。

これは声のcampusで大切にしている「伝える」というテーマにも、深く関わってくる話だと感じました。今日はその話を、あなたにも共有させてください。

人から聞いたどきっとする話

少し前に話題になった本『スマホ脳』をご存知でしょうか。スウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセンさんが書かれた一冊です。

この本の中で、マルチタスクを好む人ほど、集中力も記憶力も成績が振るわなかったという、スタンフォード大学の研究が紹介されているのだそうです。複数のことを同時にこなしているようで、実は一つの作業から別の作業へ、忙しく行ったり来たりしているだけ。そのたびに集中はぷつぷつと途切れて、効率はどんどん落ちていくのだと知り、思わず「あ、それ私だ」とつぶやいてしまいました。

さらに驚いたのが、テキサス大学の研究です。スマホを別の部屋に置いた人、ポケットやかばんにしまった人、机の上に置いた人。この3つのグループで作業の成績を比べたところ、別室に置いたグループがいちばん良い結果を出したそうです。触ってもいない、画面も見ていない。ただそこにあるだけで、脳の力は静かに奪われていたのです。

狩猟時代の脳にスマホを持たせたら

人間の脳は、狩猟採集をしていた時代からほとんど姿を変えていないと言われています。マンモスを追いかけていた頃の脳のままで、わたしたちは今、便利すぎる道具を手にしてしまいました。

道具だけが猛スピードで進化して、脳はずっと置いてけぼり。これでは、脳がついていけなくなるのも、無理はありませんよね。

そしてもう一つ、心に残った話があります。授業中にスマホを預けて手元から離した学生と、手元に置いたままの学生とでは、授業への入り方がまるで違うのだそうです。

人間は、本来シングルタスクの生き物。ひとつのことに、心をまるごと向けたときにこそ、本来の力を発揮できるようにできているのだと思います。

スマホがそこにあるだけで心は半分うわの空

これは、声を届けるときにも、そのまま当てはまることだと感じました。

正直に言うと、わたしもかなりのシングルタスク脳です。LINEの返信をしていたり、SNSの更新に集中していたりすると、目の前で話しかけられていることにまったく気づかず、旦那さんから「おーい、話聞いてないし〜」と突っ込まれることがよくあります。(笑)

誰かと話しているとき、心のどこかでスマホの通知が気になっていたら、その声はほんとうに相手に届いているでしょうか。声のcampusで伝えている「声で伝える力」は、発声の技術だけの話ではありません。今、目の前にいる人に、心をまるごと向けられているかどうか。それこそが、声を届けるということなんです。

その伝え方あれもこれも詰め込んでいませんか

これは、話す内容そのものにも言えることだと思っています。

人に何かを伝えるとき、あれもこれもと一気に詰め込んでいませんか。

自己紹介でも、実績も趣味も家族のことも全部話そうとしてしまう。かつてのわたしも、まさにそうでした。文字でぎっしり埋まった資料やスライドを見せられて、結局どこにも印象が残らなかった、という経験もあるのではないでしょうか。

あれもこれも説明しようとすると、聞き手の心にはひとつも残らない。脳はもともとシングルタスクなので、一度に受け取れる情報には限りがあるんです。

伝えるときも、シンプルに。一番伝えたいことを、ダイレクトに届ける。これだけで、あなたの言葉はぐっと相手の心に残るようになります。

明日からできるシングルタスク習慣

明日から、できることがあります。

大切な話をするとき、スマホをかばんの中にしまってみてください。それだけで、驚くほど相手の声がクリアに聞こえてくるはずです。

そして何かを伝えるときは、まず「一番伝えたいことは何か」を、ひとつだけ決めてみてください。声のcampusのレッスンでも、伝えたいことをひとつに絞る練習をしてもらうことがあります。最初は物足りなさそうにされる方も、話し終えたあとには「これだけでちゃんと伝わるんですね」と、驚いた顔で話してくださいます。
ちなみに、実は『目線』も一点に絞ると、伝わり方が一気に変わりますよ♡(という話はまた今度・・・)

スマホを一旦手放すこと。伝えたいことは一点に絞ること。それだけで、あなたの声は、もっとまっすぐ相手に届くようになります。

一つのことに、心をまるごと向ける時間を、一日のうちに少しだけつくってみませんか。その積み重ねが、きっとあなたらしい伝え方を育てていきます。

わたしも、これからも一つひとつの声に、まるごと向き合っていきたいと思っています。

藤島あやの
PROFILE
藤島あやの
声のcampus 代表

声のcampus代表。想いを届ける司会・ナレーション、対話で人と組織をつなぐ企業研修・ファシリテーションを軸に、ラジオパーソナリティ、大学非常勤講師、経営者インタビューメディア「コントリ」インタビュアーとしても活動中。ビジョンは「声の力で、誰もが自分らしくいきいき輝いて働く社会の実現」。人が定着する組織に必要なのは「理念の浸透」と「相互理解」。そのために必要なのが、聴く・認める・伝えるという”対話の文化”。一人ひとりが主体的に力を発揮し、互いに認め合い助け合える、強く持続的な組織をつくる。すべては、声から始まる。

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